2016(平成28)年
大阪府立堺工業高等学校
大阪府立堺工科高等学校 




創立80周年記念祝賀会
  平成28年12月17日(土)
 ホテル・アゴーラリージェンシー堺

式次第
開宴の辞 雪陵会会計監事 中尾真次
   実行委員会会長および
会長挨拶 雪陵会会長   名倉克巳
来賓祝辞 堺市長     竹山修身
乾 杯  准校長     山田 浩
謝 辞  学校長     加島良彦
アトラクション
和太鼓演奏 信太菊水和太鼓
   ミニコンサート和泉上志(卒業生)
校歌斉唱
万歳三唱 雪陵会副会長 上島淳之亮
閉宴の辞 PTA会長   譜久山誠



名倉克巳・会長挨拶

 私たちの母校が創立80周年を迎え、衷心よりお祝い申し上げます。

 この間、2万8千名という卒業生を世に送り出し、「ものづくり日本」を支える原動力になって活躍されていることを誇りに思っております。昭和11年、「日本一特徴のある学校を創れ」との命を受け、各界の期待を背負い設立されました。昭和15年、定時制課程の前身となる夜間部化学工業科が設置され、定時制教育も始動しました。戦争という大きな動乱期や幾多の障害も乗り越え、府下有数の工業高等学校として認知されるに至りました。

 年号も平成となり、その17年に大阪府立堺工科高等学校に改編されました。「専門分野の更なる深化や高等教育機関への接続」を目指し、校長先生をはじめ諸先生のたゆまぬお取り組みを頂き、各方面の期待に応えられ素晴らしい卒業生を世に送り続けられていることは誠に心強い限りであります。

 母校の教育方針に「人格の陶冶」があります。生徒に教育を施し、人格を作り上げることだと考えます。教育は本当に尊いものであり、このことにより安心・安全な社会を築き、国を支える柱になり得るものと思っております。

 今年の5月末、「しつけ」のためにこどもを山中に置き去りにし、世間を心配させる事件が記憶に残っていると思います。各方面の懸命な捜索にも発見できず、安否が気遣われておりました。行方不明から6日目に自衛隊演習場内の廠舎(しょうしゃ)と呼ばれる簡易宿泊施設で無事に保護されました。食料も無く耐えられる限界が7日と言われるその直前に救出され安堵した次第です。

 場所は北海道南端のヒグマの出没する恐れのある山林で、簡易宿泊施設には水道、トイレに宿泊用マットレスが常備されている施設であったことも幸いしていたのではないかと言われています。事件の発端はさて置き、小学2年の男児の行動力には賞賛に値するものではないかと思います。Tシャツにジャージの薄着で山道10Kmを歩き、偶然かもしれないが簡易施設を探し当て、そこは水が得られ雨風をしのげたことが生存に繋がったのではと見ています。更に初日から移動せず施設にいたこと、マットで体温が守られたことが体力の温存に効果があったとも思われます。

 男児の生命力の強さと判断力の素晴らしさはどこから生まれたものでしょうか。これまで受けてきた「教育」の成果ではないでしょうか。家庭、幼稚園、小学校、地域社会での教育です。幼い男児であり、事情聴取もままならず想像の域を脱しないことも多いと思います。然しながらこの事件を通して、教育の重要性を垣間見た思いを致しました。創立80周年を契機に母校の更なるご発展をお祈り申し上げます。 



加島良彦・学校長挨拶
創立80周年を迎えて

 本校は、昭和11年に創立以来、幾多の変遷を経て、今年、記念すべき80周年を迎えることができました。顧みますと、本校は昭和11年、風雲急を告げる国内外の情勢のなか、未曽有の昭和恐慌を商工業の力で乗り越え、東京を凌ぐ経済力で活況を呈していた大阪で府工業奨励館(現:府産業技術総合研究所)を仮校舎に産声を上げました。化学工業の殷盛、金属工業勃興の機運が高まる情勢に応えるかたちで、大阪府立第五職工学校として約百名の英俊をむかえ、第一、第二化学工業科、金属工業科、化学機械科の4科で発足しました。そして激動の戦時下、混然とした時代の苦難を乗り越えるなか、質実素朴勤勉で研究熱心な校風を生み出されたことが今日の礎となり、80年の星霜を経て、六出花の校旗のもと2万8千人を超える卒業生がこの地を巣立ったことを思うと感慨深いものがございます。

 この間、職工学校から工業学校、工業高等学校、そして工科高等学校へと時代の要請に応えてそれぞれの歴史を刻み今日を迎えられましたのも、卒業後、各方面でご活躍されておられる先輩諸賢をはじめ、多くの関係者の皆さまのご支援のおかげと、衷心より感謝申し上げます。

 創設期を紐解いたとき、「生徒一人ひとりが指導者たれ」という方針のもと、級長制度を設けず、定期考査によらない課題制度や科の枠を超えた実習など、前例にとらわれない教育活動には、人格教育を第一とした遠大な理想が垣間見られます。教育の本質を貫く姿勢と進取の精神、そしてその思いに応えて努力を重ねた生徒の姿は、混沌とした今の時代に、 年の時を経てその輝きを増し、今もなお羅針盤としての役割を果たしています。

 今、社会は高度情報化による急激な変化にさらされ、10年先を予測することも難しい時代にあります。産業経済の仕組みを人に例えて、情報は神経、金融は血液、ものづくりは骨格と言われます。このことは、産業が発展し高度化すればするほど、その基盤を支えるものづくりの重要性が高まることを示唆しています。そして、現在こうした変化に対応するため、汎用性の高い基礎技術の高度化と深化が課題となっています。さらに工業教育の視点では、キーボードひとつで生活が変貌する社会にあって、ものづくりのもつ豊かな創造性や人間性回復への機能に大きな期待が寄せられています。産業界のものづくり技術の継承も懸念されるなか、今、工科高校は社会から大きな役割と責務を担っています。

 こうしたなか、本校では工業の基礎を複合的・横断的に学び、地元企業、関係団体の皆様のご支援を頂きながら実践的技能を高め、ものづくりマインドを持った将来の技術者の育成を図ってまいりました。今後も、一層地域との連携を深め、時代を見据えた取り組みを推進してまいります。

 古典の言葉に「機械を有する者は,必ず機事有り。機事有る者は,必ず機心有り。」があります。物を使う際の機械と人間の関係における人間性の喪失を警告する含蓄ですが、ものづくりにも通じるものがあります。80周年の節目にあたり、ものづくりを通じて人格を磨くという、本校で受け継がれてきた建学の精神に思いを馳せるとともに、工業教育における人間性育成の重要性をあらためて自覚し、さらなる歴史の一歩を踏み出し、本校教育の充実発展に努めてまいりたいと存じます。

 最後に、創立80周年記念事業実行委員会を設立し、記念事業の遂行に多大なるご尽力を賜りました雪陵会をはじめ関係の皆さまには心より感謝とお礼を申し上げます。また、本記念誌への玉稿を賜りました皆さまにお礼を申し上げますとともに、編纂に携わっていただきました関係の皆さまに感謝申し上げ、ご挨拶といたします。 




山田 浩・准校長挨拶
創立80周年を迎えて


 昨年4月、赴任した時に、最寄りのバス停が「工業学校前」とあった。どうして「堺工科高校前」と書いていないのか気にかかり、そのことが本校の沿革や当時の歴史的背景を調べるきっかけとなりました。

 全日制は、昭和11年に「大阪府立第五職工学校」としてスタートし、翌年、「大阪府立堺職工学校」に改称しました。昭和 年に「工業化学科夜間別科」を併設し、それが、定時制のスタートとされています。昭和15年に「大阪府立堺第二工業学校」として独立し、化学機械科(1年後に機械科)、電気化学科(1年後に電気科)が設けられました。その前年、全日制については、「大阪府立堺職工学校」から「大阪府立堺工業学校」に改称しています。その後、昭和23年に学制改革により「大阪府立堺工業高等学校夜間課程」と改称し、2年後の昭和25年に「夜間課程」を「定時制課程」と名称変更しています。その後、長い月日が流れて、平成17年に高校改革プログラムによる再編整備により「大阪府立堺工科高等学校定時制課程」となり、従来の電気科・機械科を廃止して総合学科へと改編されました。

 昭和16年以降、「工業学校」の名称は、「堺の工業に関する学校」という意味で極めてわかりやすく、地元に人にも親しまれ、その後の名称変更にも呼応せず、愛称として今も残っているのだとわかりました。

 さて、定時制に通う生徒像はここ10年で大きく変わりつつあります。勤労青年は減少し、不登校経験者、全日制からの転退学者、支援の必要な生徒、日本語を母語としない生徒など以前よりも多様な生徒が入学してきます。教職員もその多様性への対応に苦慮する時もありますが、スクールカウンセラー、若者サポートステーション等の外部機関とも連携し、生徒一人ひとりに対して、丁寧にサポートする体制が整っています。

 このように我々を取り巻く環境は、大きく変化していますが、豊かな人間性を育む教育を展開して、「生きる力」を伸ばし、社会で活躍できる人材を育成する教育の重要性は、不易の部分です。生徒一人ひとりの潜在能力を最大限に引き出すために、目的意識を向上させ、正しい勤労観をもった生徒の育成ができるよう、教育内容の充実、授業力の向上に向けて一層努力していく所存です。

 最後になりましたが、80周年記念事業の推進にご支援、ご協力いただきました雪陵会、後援会、並びに線香によるモニュメント製作に多大なご協力をいただきました堺線香工業協同組合様、そして記念誌編纂にご尽力いただきました方々に厚くお礼を申し上げるとともに、これからも一層のご指導、ご支援よろしくお願いいたします。 




創立80周年記念文集

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ご投稿ありがとうございました。
大変遅くなりましたが、ただ今アップしましたので
ご高覧ください。
2017.3. 2




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