大阪府立堺工業高等学校・同窓会
「堺工の60年」発刊のことば (平成8年)
雪陵会・前会長 三星 恵宥 (03C1・昭和17年12月卒業)
昭和11年4月11日、母校の創立開校第1回入学式が、大阪府工業奨励館江の子島仮校舎において盛大に挙行され、1000名をこえる多数の中から選ばれた俊英100名の第1期生が帽章の六出花を美しく輝かせ、歓喜に満ちた笑顔で栄えある門出の第一歩を踏み出し、各界、各方面からの注目と期待を一身に集め、心からの祝福と激励を受けて「堺工」は力強く発足しました。
翌年4月9日、1期生と前々日入学したばかりの童顔まばゆい2期生、総勢200名が思い出の江の子島仮校舎を後にして、校旗を先頭に威風堂々堺市へ勇躍到着、市民を代表する河盛安之介市長より「堺は待望の堺工を得た。将来の堺市・日本の工業界は頼もしい協力者を得た。堺工の使命は極めて大。堺工の設立を心から喜ぶ」との大歓迎をうけ、草分け先輩の雪陵健児らは大きな誇りに燃え、強い自覚に徹して明日からの努力精進を肝に銘じた堺入りでした。その日、憧れの、雪とかがよう白亜の校舎が建つ百舌鳥耳原の地に歩を進めた先輩は、日本唯一の化学工業の設備を誇る母校「堺工」の輝かしい出発の足跡を印しました。
初代校長・小山平治先生、教頭・中野益利先生(二代校長)を囲む教職員先生方の熱情溢れる教育愛のもとに、草分け時代を切り開かれた堺工の創立期、それを受け継いで戦中戦後の激動の歴史に対処しつつ迎えた新学制発足期、ついで生徒急増期、さらに校舎改築期、そして新時代を目指して発展を続けて今日に至った60年、これまで精魂を傾けての献身的なご尽力によって母校の発展を築いてくださった歴代校長先生はじめ諸先生方、ならびにPTA・後援会・関係機関・団体・関係各位のご支援、ご協力に言葉に表せない深い有難さを感じ、感謝を捧げる次第です。
10年前の昭和61年、創立50周年記念誌「五十年の歩み」が刊行され、母校半世紀の偉大な沿革史を通して、その歴史と伝統に思いを至し、次の新しい時代への進展をお互いに心に期したことを想起します。
輝かしい堺工の創立60周年、人生に照らせばまさに還暦の意義深い節目の年輪に達した今、創立の心に立ち返って母校の歴史を振りかえり、その発展の歩みを讃え、更に新しい21世紀の未来への前進・発展へつなぐ掛け橋へとの願いから「堺工の60年」編集を思い立ちました。どうかすると忘れ去られてしまう貴重な思い出の数々を、先生方及び卒業生、関係の多くの人々のお力添えを得て、それぞれの年代、それぞれの場においての堺工との関わりを後々に語り伝えていただき、その生活の歴史の中に母校の姿をとどめたいと考えました。
本記念誌編集にあたり、まことに大切な多くの資料をご提供いただいた恩師の先生方はじめ各先生方、関係方面の方々、ならびに直接編集に掌ってくださり、限りないご心労ご尽力をいただいた編集委員、事務局の方々に心から敬意を捧げ、厚く御礼を申し上げます。